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ベタ漉きってプロはどうしてる?プロが教えるベタ漉き作業について

今回は革漉き機やバンドマシン(全漉き機・漉き割機)を使ったベタ漉きについてご紹介させていただきます。

普段漉きに出している漉き屋さんでどのように加工がされているのか、また現在革漉き機を持っているがうまくベタ漉きが出来ないなどのお悩みについてお答えさせていただきます。

ベタ漉きとは?なぜ必要?

ベタ漉きとは素材全面の厚みを均一に薄く漉くことによって、素材を加工しやすくする作業のことです。

ではなぜベタ漉きが必要かといいますと、革を薄くすることによって完成した品物の重さを軽くするためや

革が厚いとミシンで縫えないなどの原因に繋がるので漉きは必ず必要な工程になります。

 

ベタ漉きに向き・不向きな革は?

ベタ漉きに向いている革はある程度の厚み(2㎜前後)、そして革質がしっかりした革(タンニン鞣し)が漉きやすい革になります。

クロム鞣しの革や、柔らかすぎる革はバンドマシン・革漉き機ともに不向きな革になります。

 

革漉き機・バンドマシンそれぞれの特徴(ベタ漉きについて)

革漉き機

機種名 特徴
NP-1・2

(本体色:黒色)

製造終了機種

最大漉き幅5cm

押え金の種類によって様々な漉き方が出来る

基本用途:コバ漉き

現行機種と部品が合わない箇所もある

中古品しかないため精度が悪いものは漉き落ちや漉きむらがでる可能性が高い

NP-201・202

(本体色:緑色)

現行機種

最大漉き幅5cm

押え金の種類によって様々な漉き方が出来る

基本用途:コバ漉き

新品はもちろん中古品でも精度がしっかりと出ているものが多い。

現行機種なので部品が安定的に供給できる

バンドマシン(全漉き機・漉き割機)

機種名 特徴
NP-350 製造終了機種

漉き幅350㎜(最大スライス幅320㎜)

初期製造のものは調節が難しい

NP-1240C 現行機種

漉き幅400㎜(最大スライス幅380㎜)

現行機種の中で一番小型

新品では厚みの表示や運転ボタンなどがタッチパネル方式になっている

レザーショップや漉き屋さんでお使いいただくに最適な機種になります

NP-120 現行機種

漉き幅480㎜(最大スライス幅450㎜)

新品では厚みの表示や運転ボタンなどがタッチパネル方式になっている

幅が広く大きな1枚革の漉き割に適している

 

革漉き機での悩み

ベタ漉きをすると端または漉き途中で落ちてしまう

皆様お一人お一人に最適なやり方があるかと思いますが、今回は端が落ちにくい漉き方をご紹介させていただきます。

・最初に一番幅の広い押え金(♯113など)変更します。

①まず初めにベタ漉きをしたい革の四隅を先に漉きを行います。

②四隅が漉き終わりましたら押え金を降ろしてくるハンドルを使い、すでに漉いている部分を避けるように挟み込んでセットします。

 

③真ん中の部分だけ最後まで漉ききってしまえばベタ漉きの完成になります。

こちらの方法ですと端を先に漉いてしまいますので端が落ちてしまう心配が少なくなります。

 

バンドマシンでのお悩み

うまく入っていかない

この場合は刃がきちんと研磨できていないもしくは上下ローラーが革を挟み込めていない場合がほとんどです。

刃先がかけていないかや刃がのぞき窓から見たときに上下に振れていないかも見てください。

どのくらい砥石を当てたらいいのかわからない

バンドマシンのお問い合わせの中でも一番多いのが刃の研ぎ方、研磨作業についてです。

今回は弊社で行っている研ぎ方をご紹介させていただきます。

①まず砥石を動かす前に砥石表面が黒くなっていなことを確認します。

※黒くなっていた場合上記写真の黄丸ドレッサーで砥石をドレスしてください

②機械を運転させ砥石を近づけていきます。砥石を近づける方法は付属のT型レンチで回していき

最初は上下ともに刃に少しだけ(小さくジャリ・ジャリという音が鳴るくらい)砥石を当てます。

③あたっているのが確認で来ましたら同じだけ砥石を刃に強く当てていきます。

※例えば②の状態から上を半回転回したら、下も同じように半回転分回します。

そうするときれいに刃先がまっすぐに出てきます。

 

刃先の良い例・悪い例

 

 

 

 

 

 

 

 

〇の刃先がきちんと上下の砥石が均一に当たっている場合に真ん中にまっすぐ出ます。

真ん中にある×の刃先は下側の砥石を当てる力が強く、刃先が上に出てしまっています。

一番下の刃先は上側の砥石を当てる力が強く、刃先が下に出てしまっています。

刃先がずれていたらどのような現象が起こる?

先程の図のように×のような刃先の時は以下の現象が起こる場合があります。

・厚み設定を全く変えていないので漉き厚みにばらつきが出る

・片側が研げていないので漉き面に線やむらが出来る

・上下ローラーが回って素材が送られているのに入っていかないまたは抵抗がある

以上のような現象が起こった場合は刃先が原因の時がありますので一度ご確認いただければと思います。

 

またバンドマシンを使った厚み調節→研磨→漉き作業の動画をご覧ください。

 

 

新品・中古の機能の差・違いについて

革漉き機

機種 相違点 おススメな方
市場には中古品のみ

NP-1・2(製造終了機種)

価格が安い(7~15万円前後)

一部部品が現行仕様の部品と違う部分がある

整備が不十分な箇所がある可能性が高い

付属品が揃っていない場合が多い

ベルトを外すのにプーリーごと外さないと交換が出来ない

プロクラフター

革漉き機の整備がご自身でできる方

新品

NP-201・202

価格が中古品に比べ高い(約35万円)

しっかりと整備されている状態で開封後すぐに使用が出来る

NP-202には裏刃取りの機能がついている

現行機種なので部品供給や消耗品について安心できる

ベルトがプーリーを外さなくても簡単にはずれる

趣味

セミプロ

プロクラフター

大量生産を想定される場合

中古

NP-201・202

新品と比べ価格が安い(20~35万円)

新古品もあるのでお買い得品なものもある

82年から製造しているので、初期品の場合内部部品が現行機種と違う場合がある

趣味

セミプロ

プロクラフター

バンドマシン

機種 相違点 おススメな方
市場には中古品のみ

NP-350(製造終了機種)

専用部品が在庫限りで異臭量の為、部品供給が不安定

漉きの精度が悪いものがある(未整備)

機械によっては精度の悪い状態で長年使用されていたものはクセがついて調節しても精度が出ない場合がある

送りの速度がギア式なので3段階にしか調節できないものもある

プロクラフター

漉き屋さん

ワークショップ

新品

NP-1240C

現行機種なので部品供給や消耗品について安心できる

販売店やメーカーからのメンテナンスや製品保証が受けられる

しっかりとした精度が保証されている

タッチパネル式で表示が見やすくなっている

送りの速度がつまみで可変が出来る

プロクラフター

量産工場

漉き屋さん

ワークショップ

中古

NP-1240C

販売店からの保証のみ受けられる(販売店からの購入の場合)

購入場所によっては整備がきちんとできていない場合がある

グリスや油など見えにくい箇所が消耗している場合がある

プロクラフター

量産工場

漉き屋さん

ワークショップ

新品

NP-120

現行機種なので部品供給や消耗品について安心できる

販売店やメーカーからのメンテナンスや製品保証が受けられる

しっかりとした精度が保証されている

タッチパネル式で表示が見やすくなっている

送りの速度がつまみで可変が出来る

量産工場

漉き屋さん

中古

NP-120

販売店からの保証のみ受けられる(販売店からの購入の場合)

購入場所によっては整備がきちんとできていない場合がある

グリスや油など見えにくい箇所が消耗している場合がある

古い機種の場合は送りの速度が3段階のギア式になっている

古いものは40年以上たっている場合があり、購入してもプーリーなどの主要部品にガタが出ている場合がある

量産工場

漉き屋さん

どっちが向いている?

レザーショップや漉き屋さんをされていて1枚革を漉く機会が多い

→バンドマシン(NP-1240C)

小さなパーツの加工や趣味や副業として加工をしたい

→皮漉き機

バックに使用する革を全漉きして使用したい

→バンドマシン

一日に大量の革を漉く(大小様々な革がある場合)

→バンドマシン

バンドマシンと皮漉き機のどちらかを選ぶ基準は1枚革を漉く作業があるかないかになります。


 

 

 

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